チェコは非常に見所の多い国です。
全世界で1,000件の登録があるユネスコ世界文化遺産のうち12件を日本の約1/5の国土に見ることができます。
現代でも美しい作風にファンも多い画家のミュシャや、「変身」で有名な作家カフカの出身でもあります。
第2次世界大戦の被害が比較的少なかったため、中世時代の建物も多く残り、おとぎ話の中のような世界が広がっています。
尖塔が多くあることから「百塔の街」「石造りの夢」「黄金の街」様々な呼称が与えられてきました。
プラハへの旅の計画を立て始めたらきっとどこを巡ろうか迷うことでしょう。
プラハは小さな街なので徒歩でもある程度観光スポット回ることができますし、地下鉄やトラムを使えば結構自由度高く動き回れます。
街中にはゴシックだったり、アールヌーヴォーだったり、アール・デコだったり様々な建築様式の建物をホテルにしたところが多く、ホテル選びも楽しいですよ!
そこで今回はプラハでおすすめな観光に便利で過ごしやすい3エリアとホテルをご紹介したいと思います!
プラハ城、カレル橋、旧市街・・・世界遺産の歴史地区(プラハ1区)は見所いっぱい!
首都プラハの街づくりは10世紀ごろから本格化しました。
つまり1000年以上の歴史が詰まっているということになります。
時代の流れの中で様式の異なる建築作品が数多く生み出されました。
一つの都市にロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、アール・ヌーヴォー様式の建物を見ることができるのは珍しいでしょう。
そんな多くの歴史を見ることができる旧市街を含む中心部が街ごと1992年にプラハの歴史地区として世界遺産に登録されました。
歴史地区はプラハ1区のヴルタヴァ川を挟んだ両岸に広がっています。
西側にプラハ城、フラッチャニ地区、城下町のマナーストラナ地区、カレル橋で対岸の東側に渡れば旧市街やユダヤ人街があります。
プラハの歴史地区には観光の見所がいっぱいあります。
もちろんプラハ城を見なくては帰れませんね!
プラハ城は世界でも最も古くて大きい城です。
城と言っても1つの大きな建物ではなく、教会や宮殿、旧王宮などが集まって形成されています。
プラハ城の築城は9世紀後半に始まり、増改築を繰り返してきました。
フラチャヌィの小高い丘の上から10世紀以上もの間プラハの街を見守ってきたのです。
かつての王の居城だったプラハ城は現在、大統領府になっています。
プラハ城で遠目にも存在感があるのが聖ヴィート大聖堂。
プラハ城には、ゴシック様式の聖ヴィート大聖堂以外にもロマネスク様式の聖イジー教会と1000年間のあらゆる建築様式が含まれています。
また、プラハ城内にはおとぎ話のようなかわいい家々が並ぶかつて錬金術師たちが暮らしていた黄金小道などここだけでも見どころが多いです。
フラチャヌィの丘をくだり、城下町のマラー・ストラナ地区を通るとプラハ最古の橋、カレル橋があります。
橋上には聖像が並び、路上パフォーマンスも行われ、カレル橋もいつも観光客で賑わっています。
夕暮れから夜にはライトアップされるプラハ城やカレル橋の姿が大変美しくこちらも必見です!
カレル橋を渡りヴルタヴァ川から旧市庁舎がある旧市街広場へ向かって歩くとこれまたあらゆる建築様式を目にします。
旧市街広場にある旧市庁舎に取り付けられた天文時計も人気のスポットです。
この天文時計、美しさにまず目を引かれますがただの時計ではありません。
毎時キリストの十二使徒が顔を出すからくり時計でもあり、現在時刻以外にも古チェコ時間、日の出日の入りの時刻、天体の位置、日にちなども読み取ることができる多機能時計なのです。
製作されたのは今から600年程前、1410年にさかのぼります。
中世時代に作られたことを考えるとプラハが当時学問・芸術の最先端都市だったことがうかがえます。
旧市街の北側には中欧最古のユダヤ人街が広がっています。
13世紀にユダヤ人地区として栄えたエリアで、歴史あるシナゴークなど見応えがあります。
歴史地区には他にもミュシャが内装の装飾に参加したアールヌーヴォー様式の市民会館、天井のフレスコ画が迫力のストラホフ修道院、2つの尖塔が象徴的な聖母ティーン教会、キンスキー宮殿など見所がたくさんあります。
どこにホテルをとるか迷ったら1区、歴史地区内にホテルをとれば間違いなしでしょう!
街歩きの観光をするにも非常に便利ですし、ホテルの数も豊富です。
1区の歴史地区は素敵なホテルがたくさんあって目移りしますが、ここでは旧市街、その北側のユダヤ人街、プラハ城のあるフラッチャニ地区のホテルをちょっとだけご紹介します。
のだめカンタービレにも登場!
グランド ホテル ボヘミア Grand Hotel Bohemia
予算:ミドル、ラグジュアリー
グランド ホテル ボヘミアは1区、旧市街の中心部、火薬門から徒歩すぐのところにあります。
旧市街広場へも近く、地下鉄ナメスティ・レプブリキ(Namesti Republiky)駅までは約5分、カレル橋まで徒歩15分程度と観光するには非常に便利なロケーションです。
グランド ホテル ボヘミアの建物は1968年プラハの春の改革を率いたドブチェリックが居を構えた建物を利用しています。
外観はやや地味で目立たない印象ですが、館内に入るととてもモダンで清潔感があるので滞在しやすいでしょう。
客室はダークブランとベージュで統一され柔らかな印象で落ち着きがあります。
バスタブがある部屋もあるのが嬉しいですね!
また、ヨーロッパの古い建物を利用したホテルではエレベーターのないところも珍しくありませんが、グランドホテルボヘミアはエレベーターもあるので荷物を持って階段を登る心配がいりません。上の階の部屋でも安心して予約できます。
スイートにはプライベートバルコニーあり、そこからはプラハの旧市街を見渡すことができます。
夕暮れ時などはオレンジ色に輝く風景にうっとりしてしまうかも。
ユダヤ人街にあるホスピタリティ抜群のホテル!
ホテル レジデンス アグネス
Hotel Residence Agnes
予算:エコノミー〜ミドル
ホテル レジデンス アグネスはユダヤ人街にあり、旧市街広場まで徒歩10分足らずの場所にあるホテルです。
ホテル周辺はお店も多く、外灯も明るいので夜でも不安のない地区です。(もちろん海外なので最低限の警戒は必要です!)
ホテルに利用されているのは歴史を重ねた建物で周辺の住宅に溶け込んでいますが、外壁がピンクなのですぐにわかるでしょう。
ピンクの外観以外に装飾は少なく、アール・ヌーヴォー様式の建物などに比べたらちょっと地味ですが、館内に入るとロビーは吹き抜けになっていて開放感があります。
照明などの家具もスタイリッシュでおしゃれです。
客室は清潔なのはもちろん、ダークブラウンとベージュを基調にした色合いの家具が配置され、シンプルで落ち着く感じです。
ホテル レジデンス アグネスのスタッフはフレンドリーで親切ですが、適度な感じで放っておいてもくれる、この対応が秀逸で、おもてなしにうるさい日本人宿泊客からもすこぶる好評!
1度泊まるとリピートしたくなることでしょう。
唯一の難点を挙げるとすれば、4つ星ホテルなのにバスタブないことでしょうか。シャワーだけでも満足できる方にはかなりおすすめです!
プラハ城近くで中世にトリップ気分!
ホテル レッド ライオン
Hotel Red Lion
予算:バジェット〜ミドル
ホテルレッドライオンはプラハ城のあるフラッチャニ地区にあり、かつプラハ城の入口になる坂道のすぐそばにあります。
ヴルタヴァ川の対岸にある旧市街の火薬塔からプラハ城まで続く「王の道」上です。
旧市街から歩くならカレル橋からほぼ一本道でわかりやすいですが、坂になってるのでちょっとキツイかもしれません。
ただ旧市街からの道すがらやホテル周辺はお土産屋さんやレストラン、スーパーマーケットもあり一息入れつつ楽しく歩けます。
レッドライオンホテルからはカレル橋、ニコラウス教会、図書館が美しいストラホフ修道院、ロレッタ教会などの観光スポットも近いです。
プラハ城や聖ヴィート大聖堂はお昼になるにつれて観光客が多くなってくるため、混雑を避けたいなら朝のお散歩で行くのがおすすめ!
それができるのも近場のホテルの特権ですね。
ホテルレッドライオンは15世紀(今から500年前!)に当時のちょっとブルジョア層の市民の館として建てられました。歴史あるゴシック様式が美しいです。
中はもちろんきれいですが、部屋の天井にはおそらく当時流行したであろ華やかな模様が描かれていていたり、家具やベッドなどもアンティークな感じでクラシカルな建物にしっくりきます。まるで一瞬中世時代のプラハにタイムスリップした感覚を味わえますよ。
ダブルベッド1台、シングルベッド2台のファミリールームもあるので家族旅行、グループ旅行にもいいですね。
部屋タイプによってバスタブある部屋もあります。
2区にはホテル、ショッピングも充実の新市街が!新旧市街のいいとこ取りのヴィノフラディ(Vinohrady)もGood!
新市街は旧市街のある1区と隣り合うプラハ2区にあります。
新市街の中心はヴァーツラフ広場。買い物に便利なショッピングセンターやホテルも充実のエリアです。
ちなみにプラハの新市街は「新」とはいえほかのヨーロッパの新市街に比べ古く歴史があります。
プラハ2区には新市街とプラハ本駅を挟んだ反対側にヴィノフラディというエリアがあります。
ヴィノフラディの名称はかつてここにぶどう畑(vineyards)が広がってことに由来します。
現代ではここはいわゆる高級住宅街の1つです。
プラハ2区のヴィノフラディは、歴史ある美しい建物が残っていながら、買い物に便利なショッピングセンターのある新市街の中心ヴァーツラフ広場までも徒歩15分と近く、旧市街(Staré Město)新市街(Nové Město)の良いところを合わせたような特徴を持っています。
地下鉄A線のナームニェスチー・ミール駅のあたりは、観光スポットの旧市街広場があるスタロムニェスツカー駅まで地下鉄A線で3駅なのでアクセスは抜群です。
空港までは、空港までの直通バスが出ているナードラジー・ヴェレスラヴィーン駅まで一本で行けます。
プラハへは他の中欧諸国の旅行と一緒にする方も多いでしょう。バスや鉄道などで周辺の国から到着した時にも便利です。
バスターミナルのフローレンツ駅からは約10分、地下鉄のC線で一本、I.P.パヴロヴァで降りると便利です。
プラハ中央駅からも、同じく地下鉄のC線でI.P.パヴロヴァで降ります。約6分ほどです。
この地区にはベトナム人の経営しているコンビニエンスストアのようなお店がたくさんあり、普通のスーパーマーケットが祝日で閉まっているときでも、夜中でも営業しているのでとても便利です。
また、アジア系の食品が買えるのでチェコ料理に飽きた時にも助かります。
おしゃれなカフェやレストランも多く、高級感のあふれる雰囲気でありながら、中心地より良心的な価格で食事やコーヒーを楽しむことができます。
教会や劇場もあり、美しいプラハの街並みを満喫できます。
中心地からほど近く、高級住宅地なので周辺の治安は良いです。
裕福で働き盛りな人が多く住んでいるという印象で、近所の人たちも親切な人が多く、困っているとすぐに助けてくれますよ。
旧市街も新市街もどちらにも近いですが、少し離れるのでホテルの価格帯もお手頃なところがあります。
アパートメントホテルも多く、高級住宅街でローカル気分で滞在したい方にもおすすめです。
例えば、I.P.パヴロヴァ駅からすぐのアパートメントホテルRoyal Court Apartmentは部屋ごとにインテリアのテーマ、雰囲気が異なっていて、現地のお洒落なアパートに滞在しているような気分が味わえます。
新市街、駅近でシンプルに滞在!
Clarion Hotel Prague City
クラリオン ホテル プラハ シティ
予算:バジェット〜ミドル
クラリオン ホテル プラハ シティは2区の地下鉄I. P. パヴロヴァ駅やトラムの駅から徒歩数分のところにあります。
新市街の中心ヴァーツラフ広場からまでは歩いてだいたい10分ほど。
旧市街の観光地からもそう離れていないので、観光にも適しています。
部屋はモダンでシンプルなインテリア。十分な広さもあり清潔感があります。
バスルームもバスタブ付きです。
周りには緑も多く、近くにはパン屋さんやスーパー、カフェ、レストランもあるので周辺環境も居心地がいいです。
空港にも観光地にも行きやすい!プラハ6区、デイヴィツェ地区
デイヴィツェ(Dejvice)地区は6区のデイヴィツカー(Dejvická)駅周辺です。
プラハ6区は歴史的な地区ということで、昔から住んでいる人が多く、周囲は閑静な高級住宅街が広がっています。
大使館も多く、外国人比率が高いエリアです。
デイヴィツカー駅の周辺には高級感のあるレストランやバーもあります。
また、サクッと食事を済ませたいときに便利なファーストフード店もあるのでとても暮らしやすいエリアです。
日本人も多く暮らしているエリアで、デイヴィツカー駅から10分ほど歩いたところに日本人シェフの経営している日本食レストラン、日本食材店があるので、日本人にとっては快適だといえます。
デイヴィツカー駅は地下鉄のA線が通っているので空港もプラハ城・旧市街などの観光スポットへのアクセスも便利です。
空港までは地下鉄で2駅、ナードラジー・ヴェレスラヴィーンまで乗った後、直通バスに乗って15分ほどです。
プラハ城最寄りのマロストランスカー駅までも地下鉄一本で6-7分ほどです。
このように便利な場所でありながら、周辺は騒がしくなく、落ち着いて過ごすことができます。
プラハでは、地下鉄の駅周辺はホームレスの人がたむろしていたり、スリが多かったりして治安が悪いところもあるのですが、このエリアは治安が良く、明るい道が多いので夜遅くに女性一人でも安心して歩くことができます。
さらに、この地区はプラハ市内を流れるヴルタヴァ川の西側に位置しており、東側を見下ろすような小高い丘のような地形になっています。
そのため、宿泊するホテルの部屋の窓の位置が良ければ、南側にプラハ城、東側にヴルタヴァ川の東側に広がるプラハの新市街の街並みを眺めることができ、見晴らしがよいです。
中心部の喧騒からちょっと離れて落ち着いたエリアに滞在したい方、高級住宅街で安心して滞在できるエリアがいい方、アパートメントホテルも多いのでローカル気分で滞在したい方、眺めのいい部屋を探したい方にもおすすめです。
会議施設もある大型ホテル!
Vienna House Diplomat Prague
ウィーン ハウス ディプロマット プラハ
予算:バジェット〜エコノミー
6区の地下鉄デイヴィッカー(Dejvická)駅まで徒歩すぐのところにあるのがウィーン ハウス ディプロマット プラハです。
近くには地下鉄駅のほかトラムの駅もあります。
旧市街広場からは地下鉄で20分ほどで、中心部から少し離れてはいますが、アクセスが良いので旧市街や主要スポットへ出かけるにも不便はありません。
ウィーン ハウス ディプロマット プラハは歴史地区では見かけない大型ホテルで、日本のビジネスホテルの価格帯でシティホテルのクオリティを味わえます。
気をつけたほうがいいエリア:プラハ本駅周辺
チェコを旅行される前や後に、列車やバスを使って、ウィーンやドレスデンなど周辺の都市に足を延ばされる方も多いと思います。
特に夜遅くに到着する場合、「早くホテルに着いて休みたい!」と思って駅の近くでホテルを探してしまいがちですが、移動に便利だからといった理由でプラハ本駅の近くにホテルをとるのは避けたほうが良いでしょう。
というのも、プラハ本駅の周りに公園が広がっていいて、そこでホームレスがお酒を飲んで騒いでいることがあります。
また、地元の若者グループが旅行者を狙ってスリを働くという話も良く聞きます。
プラハは全体的に治安はいいので、地下鉄やトラムで5分ほど移動すれば、他に安全なエリアはいくらでもあります。
夜遅く駅周辺に長くとどまるのは避け、早く移動することをおすすめします。
編集後記
プラハと他のヨーロッパ諸国を何カ国か一緒に回る方も多いでしょう。
特に中欧のプラハ、ドレスデン、ウィーンを一緒に巡るのは人気のコースです。
プラハからウィーンは列車で約4時間、バスで約4時間半です。時間があまり変わりませんが価格はバスの方がリーズナブル。
近隣の国からの旅行で近いところなら日帰りも可能ですが、やはり1−2泊は滞在してゆっくりしたいところ。
プラハ郊外には古城も多く残っていて、古城ホテルとして宿泊できるところもあります。
ちなみに時間に余裕のある方で建築に興味のある方ならプラハから足を伸ばしてブルノへ行けば、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトと肩を並べる近代建築の三大巨匠、ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが手がけたトゥーゲントハット邸をみることもできます。